慰謝料について
慰謝料とは?
離婚に伴う慰謝料とは、配偶者の不法行為によって被る精神的苦痛の代償として支払われる損害賠償をいいます。ただし、どんなときでも損害賠償が出来るかというとそうではありません。
Ⅰ 慰謝料を請求できる、できないケース
○ 慰謝料を請求できるケース
- 不貞行為。
- 暴力、虐待行為。
- 悪意の遺棄。
- 婚姻生活維持の放棄。
- 性交不能などの有責行為
× 慰謝料が認められないケース
- 単なる性格の不一致の場合。
- 夫婦双方に責任がある場合、もしくは無い場合。
- 夫婦生活破綻後の配偶者の不貞行為。
- 有責行為の不存在。(証拠がない)
- 慰謝料を認めるほどでない有責行為。
Ⅱ 慰謝料の算定基準
特に法律で慰謝料の額や考慮すべき算定要素が定められているわけではありませんが、裁判所の判断の目安として、いくつか挙げておきます。
1 慰謝料算定の判断要素
- 配偶者の有責性の程度は ・・・不貞、暴力などの相手の関与度合。
- 背信性(信義誠実性)の程度は ・・・嘘や偽りがあるかどうか。
- 精神的苦痛の程度 ・・・ノイローゼ、自殺未遂、流産など。
- 婚姻の実情と経過 ・・・婚姻期間、初婚か再婚か、献身度。
- 当事者の状況 ・・・年齢、社会的地位、資産(支払能力)。
- 未成熟子の存在 ・・・数、親権、非嫡出子の認知の有無。
- 離婚後の生活状況 ・・・財産分与、養育費、協力者の有無。
- その他 ・・・離婚を急ぐ事情など。
参考として、慰謝料の金額を挙げますと婚姻期間3年程度で約200万円から400万円の支払いがあるようです。(平成10年度の裁判所の統計より)
2 慰謝料の請求時効について
離婚に伴う慰謝料は、離婚と同時に請求するのが通常ですが、離婚成立後に慰謝料を請求することも可能です。離婚成立後の相手との協議が困難な場合は、家庭裁判所に対して調停又は審判を申し立てることができます。なお、慰謝料請求には時効がありますので、請求は離婚成立から3年の間にする必要があります。
不貞相手に対する慰謝料請求をするには?
一方が配偶者と不倫の相手の2人の不法行為によって、円満な婚姻生活が壊され、精神的な苦痛を負った場合、配偶者と不倫の相手につき共同不法行為が成立し、一方は、配偶者と不倫の相手に対しても慰謝料を請求することができます。
不貞行為をされた方としては、当然の権利と言えばそうなのですが、ただ、その状況によっては不倫相手に慰謝料が請求できない場合もあります。
× 不倫相手に慰謝料が請求できないケース
- 既に消滅時効が成立している。(離婚成立から3年が経っている)
- 婚姻破綻後の配偶者の不貞行為。
- 不倫相手に故意、過失がない場合。(婚姻を知らなかった、隠されていた等)
不倫相手への慰謝料請求方法
- とりあえず3人で協議する。
- 協議できない状態の場合、相手に内容証明などを送付してみる。
- 相手が協議に応じない場合、法的手段に出る。
- 配偶者と共に慰謝料請求する場合は、家庭裁判所へ調停さらには訴訟を起こす。
- 配偶者と別に慰謝料請求する場合は、地方裁判所へ訴訟を提起する。
不倫相手への慰謝料の額は?
不倫相手への具体的な請求金額は、法律で決まっているのでしょうか?不貞相手に対する慰謝料額は、特に、法律などで決まっているものではなく、当事者の婚姻期間、有責度合い、資産、生活状況などを考慮して判断されます。ちなみに最近の事例を見ると、平均請求金額は100~300万円程度になっているようです。
財産分与・慰謝料の支払額別、婚姻期間別表(全家庭裁判所 平成10年度)